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DEVELOPMENT STORY 開発ストーリーDEVELOPMENT STORY 開発ストーリー
最前線に立ち続けることで、世界が追いつけないほどに鍛え上げられた技術力。
その挑戦は今でも続いています。新技術・新製品開発に挑む男たちの物語をご覧ください。
移乗サポートロボット『Hug』
統合生産システム 『Nexim』

介護する人を支援し、
本人も生き生きとさせる
ロボットの開発

五十棲 丈二ISOZUMI JOJI

1996年入社 工学部電気工学科卒

入社以来、工作機械・ロボットの制御開発からハードウエア、ソフトウエア、メカトロニクスへと担当分野を展開。液晶・電子基板の製造ロボット、大気圧プラズマ装置の開発に携わった後、介護分野向けロボットを企画し、自らプロジェクトリーダーとなって開発を推進。

移乗サポートロボット『Hug』
MOBILITY SUPPORT ROBOT 『HUG』

高齢者の方の『ベッドから車椅子へ』『車椅子からお手洗いへ』などの移乗動作をサポートするロボット。クッションのついた保持部に上体を預けてスイッチを押すと、前にスライドしながらせり上がる。残っている自身の脚力を最大限に生かしつつ、最小限の介助で移乗をサポートできるのが特長だ。現在、既に国内の複数の施設で導入されており、さらなる普及を目指している。

STORY01 きっかけ
STORY01 きっかけ 何気ない雑談から、開発は動き出しました。

成長戦略として『世界有数のロボットメーカー』を掲げるFUJI。制御、センシング、メカトロニクスなど、FUJIは電子部品実装ロボット・工作機械の分野で培った先進技術を多彩に有している。今後もそれらをモノづくりの世界でさらに高度化させていくとともに、新たな分野で生かすことを目指している。
五十棲が部長を務めた開発センターでは、新分野への進出に向け、最終製品まで視野に入れた開発に取り組んでいる。
「急速に高齢化が進む中で、介護される人だけでなく、介護する側も高齢化しています。高齢者自身の自立、そして介護者を支援する必要性が高まっていくことを見据え、まず、人が人を持ち上げる動作の負担の大きさに着目しました。一人の上司と『こんなロボットをつくりたいね』と雑談に近いような形でアイディアを出し合ったことが、Hug開発のきっかけでした。」
アイディアをもとに、CGイラストを作成し、高齢者施設での市場調査を開始。調査の結果、明らかに市場にニーズがあることと、同様のアイディアがほかに存在していないことを確信。チームを結成し、開発をスタートさせた。とはいえ、最初のメンバーは2人だけ。開発企画者として、メカトロニクス、ハードウエア、ソフトウエア、解析など、さまざまな分野のエンジニアに声をかけ、体制づくりを進めていった。

STORY02 乗り越えた壁STORY02 乗り越えた壁
人が相手のロボットには、ゴールがない。

開発を進めるにつれ、五十棲は、産業用ロボットと、人を対象としたロボットの、大きな違いを身にしみて感じることになる。それは、明確なゴールがあるか否かである。
「産業用ロボットの場合は精度や速度など達成すべき目標を定め、そこに向かって開発を進めます。しかし私たちがつくろうとしていたのは、人を相手にした、しかも、まだ世界のどこにも存在していないロボットです。どんなスペックで、どんな機能があるとよいのか、ユーザー自身にもわからない。目指すゴールそのものを、ユーザーとともに手探りでつくり上げていく必要がありました。また、人の体や環境はそれぞれですから、ゴールを一つに定めることも容易ではありません。」
自社にずっとこもって開発していては、答えは見つからない。五十棲たちは積極的に高齢者施設に足を運び、何が求められているか、何が必要かを、直接見て、感じながら、答えにつながる発想を生み出していった。また、整形外科医などの有識者からも意見を聞き、人体のつくりや高齢者の動作について学んだ。
そうした試行錯誤の末に完成させた試作機は、大きな話題を呼ぶ。ニュースや新聞で取り上げられ、経済産業省や県の開発支援事業にも採択された。

STORY03 忘れられないエピソードSTORY03 忘れられないエピソード
私たちもうれしかった、デンマークで見た笑顔。

北欧や豪州では、人が人を持ち上げる介護を法律で禁止している。介護者の腰痛発生率の高さが問題になったことから、負担軽減のために導入されたのだ。移乗動作をサポートする際は、機器を使用することが義務付けられている。主流は吊り下げ式のリフトだ。
「吊り下げ式リフトは介護者の負担を軽減しますが、本人に脚力が残っていても使う機会をなくしてしまうという問題もあります。また、物のように吊られる姿は、人としての尊厳を損ねるという捉え方もあります。」
五十棲はデンマーク大使館に相談し、介護現場でHugのテストを行うことを提案。実現に至った。
「デンマークでテストに協力していただいた方たちの中に、半身麻痺によりここ数年、自分の足を地に着けてベッドから移動したことがなかった方がいました。その方がHugを利用した時、自分の足を使えることに、とてもうれしそうな笑顔を見せてくれたんです。その姿を見て私たちも、開発に取り組んできてよかった、目指してきたものは間違っていなかったと、喜びが湧き上がってきました。」

STORY04 成果とこれからSTORY04 成果とこれから
ロボットを活用する文化を広めたい。

「開発当初から、介護者だけを支援する機器ではなく、本人が意欲的に使えるものにしたいと考えていました。吊り下げ式リフトと違ってHugには『自分で立ち上がっている』という感覚があるので、皆さん意欲的に使ってくださいます。高齢者施設に持っていくと、いつも『私もやってみたい』と列ができますよ。」
人とロボットが共存する未来に向けて、五十棲は今、次の展開を見据えている。
「技術開発だけでなく、今はまず『暮らしの中でロボットを活用する』という文化を普及させていくことも重要だと考えています。Hugはその第一歩。これからも人々の生活を楽しくするロボットを開発し、世に送り出していきたいですね。」

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