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「NXTR」で切り拓く全方位戦略 ―FUJIが描く次世代実装のかたち

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株式会社FUJI 取締役 常務執行役員 ロボットソリューション事業本部長
佐藤 武
1997年、富士機械製造株式会社(現株式会社FUJI)にソフトウェアエンジニアとして入社。電子部品実装ロボットのソフトウェア設計や制御システム開発、OS開発などに携わり、長年にわたり実装技術分野の開発を担う。
その後、ロボットソリューション事業本部において制御技術部長、技術開発部長などを歴任。また、イノベーション推進部長として、最先端技術の探索やスタートアップとの協業を推進。
2024年よりロボットソリューション事業本部長に就任。2026年より取締役 常務執行役員として、ロボットソリューション事業本部を統括している。
目次

地政学リスクの高まりやサプライチェーンの再編、人手不足の深刻化――。製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。そうした中、電子部品実装ロボットを手掛けるFUJIは、自動化技術と柔軟な生産対応力を強みに存在感を高めています。特に東南アジアやインドでは、スマートフォンやAIサーバー、半導体関連需要の拡大を背景に、FUJIのソリューションへの期待が高まっています。今回は、「TargetZERO」や全方位戦略、電子部品実装ロボット「NXTR」の強みについて、ロボットソリューション事業本部 本部長の佐藤 武さんに話を聞きました。

グローバル市場の動向とFUJIの地域対応力

現在の世界情勢をどのように捉えていますか。

ウクライナ情勢や米国の関税政策、中東情勢など、製造業を取り巻くリスクは日々高まっています。サプライチェーンやエネルギーなど幅広い分野に影響が出ており、全てを事前に予測するのは難しい時代です。だからこそ、変化を前提に、どれだけ早く対応できるかが重要だと考えています。

メーカーの最終製品の製造拠点の分散化も進んでいます。背景にはどのような変化がありますか。

これまでは、人件費が安い地域や消費地に近い場所へ生産拠点を置く流れが一般的でした。しかし最近は、地政学リスクの高まりを受け、多極化や分散化を進めるメーカーが増えています。ただ、生産地を移すのは簡単ではありません。国ごとに文化やインフラ、物流環境、人材を取り巻く環境が異なるからです。

特に人材面は大きな課題です。先進国では少子高齢化による人手不足が進み、東南アジアやインドでは人材の流動性が高いです。教育した人材が定着しないケースも多く、製造現場では大きな悩みになっています。

その課題に対し、自動化のニーズが高まっているのでしょうか。

そうですね。背景には大きく2つの側面があります。1つは、「人に依存しない生産体制を構築したい」というニーズです。単なる省人化ではなく、属人性を減らし、安定した品質と高い稼働率を実現したいという考え方です。

もう1つは、生産能力の向上です。自動化によって、従来は休憩時間などで止まっていた生産を継続できるようになります。昼間のうちに夜間稼働の準備を行うことで、夜間も一定時間、自動で生産を続けることが可能になります。

東南アジアやインドでFUJIの製品が選ばれている理由は何でしょうか。

装置の機能・性能面と、自動化の両面が評価されていると考えています。その中核となるのが、「NXTR」の前身である「NXT」シリーズから受け継がれているモジュールコンセプトです。装置やユニットをコンパクト化しながら、簡単に入れ替えられるよう設計されており、面積生産性を高めながら、多様な生産にも柔軟に対応できます。

例えば、同じフロア面積でより多くの装置を設置できることに加え、ヘッドや供給装置をワンタッチで変更できるため、多品種生産にも柔軟に対応できます。さらに、大量生産時の安定した稼働率や生産能力も高く評価いただいています。

加えて、FUJI独自の強みとなっているのが、自動化ソリューションです。機能・性能だけでなく、自動化まで含めて提案できることが、FUJIの競争力につながっていると考えています。

サービス体制についても強みがあるそうですね。

はい。世界各国でサービス体制を整えており、装置を止めないためのサポートに力を入れています。ロボットである以上、メンテナンスやトラブルを完全にゼロすることはできません。重要なのは、トラブルが起きた時にどれだけ早く復旧できるかです。お客様にとって、装置停止は大きな損失になります。そのダウンタイムを最小限に抑える体制づくりが、信頼につながっていると感じています。

どんな業種でも戦えるNXTR ― モジュールコンセプト、Target ZERO ―

「NXTR」はどのような位置付けですか。

従来のNXTシリーズをさらに進化させる形で開発したのがNXTRです。市場から求められる性能や自動化ニーズが、従来の延長線では対応しきれないレベルまで高まってきたため、モジュールコンセプトを継承しつつ、市場ニーズに応えるため刷新したプラットフォームとして開発しました。

近年は、より小さく高精度な部品だけでなく、大型で重量のある部品にも高い精度が求められています。FUJIでは、半導体分野やスマートフォンのような小型基板からサーバー向け大型基板まで、あらゆる実装ニーズへの対応を進めています。

「TargetZERO」に込めた思いを教えてください。

FUJIでは、これまで「実装不良ゼロ」「オペレーターゼロ」「機械停止ゼロ」という“3つのゼロ”を重視してきました。ただ、それだけでは現状最適化にとどまってしまいかねないという危機感がありました。

そこで新たに掲げたのが、4つ目のコンセプトである「実装限界ゼロ」です。「次に乗り越えるべき壁は何か」を常に問い続け、従来の限界を前提にせず、「必要とされるなら実現する」という姿勢を表現したものです。

このコンセプトを掲げたことで、課題解決だけでなく、課題発見への意識も高まったと感じています。

他社を凌駕するFUJIの自動化対応力

FUJIの自動化の強みについて、詳しく教えてください。

FUJI独自の強みとなっているのが、自動化ソリューションです。単に機能や性能を高めるだけでなく、自動化と組み合わせて提案できることが、FUJIならではの特長です。FUJIでは、人手不足が進む未来を見据え、早い段階から自動化技術の開発を進めてきました。電子部品実装ロボットは高速かつ高精度な作業が可能な一方、従来は部品補給などで人の手が必要でした。そこでFUJIでは、「人が部品補給のために実装ラインの前に立たなくても生産し続けられる設備」が必要になると考え、部品補給まで含めた自動化の開発に取り組んできました。その結果、オペレーターを段取り替えや部材補給作業から解放し、夜間でも一定時間、自動で生産を続けられるラインを実現しています。こうしたFUJI独自の特長が、製品競争力につながっていると考えています。

自動化によりオペレーターがいない暗闇で電子部品実装ロボットが稼働している様子

NXTRにて成長領域であるAIサーバーや半導体関連需要への対応

NXTRは、AIサーバーや半導体分野でも存在感を高めています。背景を教えてください。

電子機器は時代ごとに進化してきました。1990年代はパソコン、2000年代は携帯電話、その後はスマートフォンが市場を牽引しました。そして今、新たな中心となっているのがAIサーバーや半導体分野です。

私たちは、その時代ごとのニーズを先回りして捉え、最適なソリューションを提供することを重視してきました。AIは今後さらに普及が進み、当たり前の存在になっていくと思います。その需要に応えるため、技術開発や先行投資を続けています。

AIサーバーや半導体分野での手応えはいかがですか。

AIサーバーでは、大型基板に対して、小型部品だけでなく、大型かつ重量のある部品も高精度に実装する必要があります。また半導体分野では、10ミクロンレベルの高精度実装を高速で実現しなければならないケースもあり、従来以上に高度な技術が求められています。

こうした要求に対応するためには、振動制御や画像処理を含めた総合的な技術が必要です。FUJIでは、長年培ってきた機械設計技術をベースに、高速・高精度な制御技術や画像処理技術などの研究開発を積み重ねてきました。その成果が、現在の高い評価につながっていると感じています。

全方位戦略(地域×業種)により業界No.1を目指す

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

FUJIでは、地域や業種を限定することなく、「あらゆる実装ニーズに対応する」という全方位戦略を進めています。

製造業を取り巻く環境は、これからも大きく変化し続けると思います。地政学リスクや人手不足、電子機器の高度化など、お客様が抱える課題はますます複雑になっています。

そうした中で私たちが大切にしているのは、単に装置を提供するのではなく、お客様の課題解決そのものに向き合う姿勢です。現場で何が起きているのかを理解し、その変化を先回りしながら、新しい価値を提案していく。「実装限界ゼロ」というコンセプトのもとで、新たな技術やソリューションに挑戦し続けることが重要だと考えています。

これからもFUJIは、お客様の生産現場に新たな可能性を提供し、世界のものづくりの進化に貢献していきます。

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