
大学で学んだのは天文学。プログラミングはほぼ未経験、英語も話せないまま入社した若手エンジニアは今、AMRのソフト設計者として世界各地の顧客工場の自動化に携わっています。
転機は入社5年目、上司から思いがけない一言をかけられた夜でした。ゼロからのスタートで、どうやって海外の現場で頼られる存在になったのか、話を聞きました。
「天文学からFUJIへ」――決め手はショールームで動いていたAMR
スマートファクトリー開発部で、AMRの運行管理ソフトを担当しています。新卒で入社して、今年で7年目です。休日はバスケやフットサルで体を動かすか、サッカーを観に行っていることが多いですね。
そうなんです。物理学科で天文学をやっていて、ソフトは授業でPythonをちょっと触ったくらい。ほぼ素人です。愛知で働ける会社を探していたときに、大学の会社説明会にFUJIの人事の方が来ていて、話を聞いたのがきっかけです。
決め手は、本社のショールームで動いていたAMRです。「これからは自動化にもどんどん挑戦していく」という話を聞いて、面白そうだなと。配属の希望を聞かれたときも、ソフト・メカ・電気のどれも経験がなかったので、「一番なじみがあるのはソフトかな」くらいの理由で選びました。
AMRの運行管理ソフトの開発と、それを使った運用の提案です。多くのお客さまが求めているのは、省人化ですね。たとえば部品の搬送に3人かかっていた工程を2人にする。日中にAMRで部品をまとめて送っておいて、夜は人がいなくても生産を続けられるようにする。現場を見ながら、そういう姿をお客さまと一緒に描いていきます。
設計って黙々とパソコンに向かうイメージでしたけど、実際は営業や他部署と一緒に動くことがほとんど。そこは入社前の想像と全然違いましたね。
展示会の夜、ホテルの部屋で決まったインド行き
2024年1月の展示会のときです。夜、部長と課長に「ホテルの部屋で飲もう」と誘われたんです。飲みながら話しているうちに、急に「インドの話があるんだけど、どう?」って(笑)。さすがにその場では決められなくて、「ちょっと考えてみます」と。結局、その年の11月から半年間、行くことになりました。
半年も送り込むなら、普通はスキルがあって英語も話せる人を選ぶと思うんですよ。でも「成長は現地ですればいい。大事なのは行く気持ちがあるかどうか」という考え方でした。経験の少ない自分を、特に反対もなく送り出してくれた。チャレンジの機会が多くて、そのハードルが低い。それがFUJIで働く一番の魅力だと思います。
いや、全然です。大学では受験勉強とTOEICの勉強をしたくらいで、読めても話せない。会社にあるオンライン英会話制度で練習して、「何とか少ししゃべれるかな」ぐらいの状態でした。
でも、話さないとうまくならないので、もうやるしかない。追い詰められたら、意外と何でもできるもんですね。今では海外のお客さまとの打ち合わせも基本的に英語です。提案の場にも営業担当と2人で行って、流れの説明は自分がしています。相手が本当にやりたいことや現場の困りごとを英語で聞きだして、機能や運用に落とし込む。簡単じゃないですけど、意図をうまく汲みとれて提案が通ったときは、やっぱうれしいですね。
1回のやりとりで調べ切ってもらうために――海外の現場で直面した壁
専門外のことにも対応しないといけないことですね。現地では、AMR以外の設備にも対応が必要になります。設計者として行っている以上、「これしか分からないので無理です」とは言えない。分からない設備でも、マニュアルを読みながら、やれることは全部やりました。
そうなんです。どうにもならないときは、本社の設計者に調べてもらうしかありません。ここで壁になるのが時差です。インドだと、現地の午後1時半を過ぎたら日本はもう終業時刻。こっちはこれからが本番なのに、相談できる時間は限られているんですよ。
こっちが動き出すころには、日本はもう3、4時間稼働しているので、やりとりできるのは1日に2、3回。だから、現地の作業を終えてから問い合わせを送っておいて、本社の方に朝から調べてもらう形でした。
そのとき気をつけていたのは、いつ発生したのか、今まではうまくいっていたのか、といった背景までしっかり書くことです。情報が足りないと、朝起きて届いているのが解決策じゃなくて質問、ということになってしまう。一発で調べ切ってもらえるように、必死に考えて送っていました。一回一回のやりとりをどう生かすかが勝負でしたね。
「来てくれて本当に助かった」――世界の現場で積み重ねる信頼
5か国以上に10拠点近くの工場を持つ、大規模なお客さまの案件です。運用を統一できれば、トレーニングやサポートもお客さま自身で完結しやすくなるので、すべての拠点でできるだけ揃えたいというご要望でした。ただ、拠点ごとに作る製品も部品の使い方も違うので、そのままでは揃えられない。多いときは月に1回のペースで各拠点に出張して運用を整理し、汎用性の高いソフトを用意したことで、今は大きく2つの運用にまとまりました。理想は1つなので、まだまだこれからですね。
海外のお客さまの工場にいる、要求水準が高いことで知られる担当者からの「ありがとう」ですね。
今年の5月、その工場に約3週間出張することになったんです。本来はベテランの設計者が行く予定だったのですが、都合がつかなくなって、自分が一人で行くことに。正直、「え、自分が?」と思いました(笑)。
現地では、問題が起きるたびにすぐ対処して、先方がこれからやりたいことにも「こうすればできますよ」とその場で提案を重ねました。で、帰る日にあいさつに行ったら、「来てくれて本当に助かった、ありがとう」と。いつも妥協のないあの人がそう言ってくれるなら、今回は本当に頑張れたんだな、と思えました。
FUJIとしていつまでに何ができるのか、ゴールまでの道のりをはっきり示すことです。それが見えないと、なかなかYESと言ってもらえないんですよ。あとは、現地の言葉であいさつすること。例えば、インドは地域によって言葉が全然違うので、オペレーターさんに地元の言葉で一言あいさつするだけで、すごく喜んでもらえます。結局、どこの国でも人と人なんだなと思います。
映画のような自動化工場を、一緒に
チャンスは多いと思います。設計者が1年間、海外で経験を積める「マルチスキル育成プログラム」という制度もあります。周りを見ていても、手を挙げた人にはちゃんとチャンスがある印象です。
海外のお客さまの工場で、10を超えるSMTライン(電子部品を基板に実装する生産ライン)に向けてAMRが次々に発車して、部品を運んでは戻ってくる光景を見たときです。映画に出てくるような自動化工場が、本当にできていた。自分もそこまで進んだ現場は初めてで、内心めちゃくちゃ感動しました。お客さまにも、思い描いていたものが一つ実現できたと喜んでいただけました。
お客さまにとって価値のあるものを提供する。そのために日々挑戦して、向上し続ける。そこにFUJIらしさを感じましたね。
FUJIは、SMTラインの自動化という一つのゴールを目指して、ソフト、ハード、メカが部署の垣根を越えて連携しています。簡単に届くゴールではないですけど、映画で見るような自動化工場を実現できたら、きっと面白い。それを、これから入社する皆さんと一緒にチャレンジできたらうれしいですね。
海外を相手に働く機会も多いので、いろんな国や人と関わるのが面白いと思える人にも向いている会社だと思います。
自分も入社したときは、英語も話せなかったし、ソフトもほぼ素人でした。準備ゼロからでも、入ってから素直に吸収していけば大丈夫です。



