株式会社理研計器奈良製作所
製造部 製造一課 課長 吉井 隆史様
カス上がり検出器
奈良県桜井市に本社を置く株式会社理研計器奈良製作所様(以下、理研計器奈良製作所様)は、理研計器株式会社様のサテライト工場として、ガス検知警報器の製造受託とオリジナル製品であるプレス機の異常監視装置、測定器の製造販売をされています。
同社では、プレス加工で発生するカスなどの破片を感知・検出する「カス上がり検出器」を増産された影響で人材確保に苦労されていました。一連の工程の中で、3人の人手を割いていたのがコネクタ挿入とはんだ付け作業。製品の小型化により表面実装基板となり、SMTとの混載が増えるようになってきたため、フロー槽でのはんだ付けが難しいという課題を抱えていました。
同工程の自動化を数年前から検討されていた理研計器奈良製作所 吉井氏はこう説明します。「フロー槽の代わりにセレクティブトレースはんだ付け装置※の導入を進めてきましたが、前工程となる挿入機がなかなか見つかりませんでした。セレクティブはんだ付け装置は、SMTとの混載が可能なメリットがありますが、はんだ付けに時間を要するため、挿入工程に大量生産用の挿入機のような高速性は必要はなく、適切な設備が見つかりませんでした。」
※セレクティブトレースはんだ付装置とは、プリント基板の指定した箇所にピンポイントではんだ付けできる設備。
理研計器奈良製作所様は、挿入専用機やロボットシステムなど様々な選択肢の中から基板組立ロボセルSmartWing BAを選択されました。吉井氏は「部品挿入に必要なことはある程度パッケージングされており使用が容易であること、実装機の様に汎用性が高く多品種少量生産に合っていること、部品レンジの多さがポイントでした」と説明します。
通常、ロボットや画像処理を組込んだシステムを導入する場合、膨大な工数を要します。同社では多関節ロボットの導入で苦労された経験があり、導入後の品種追加や変更などの運用面も気にされていました。また、多品種少量生産を行われている同社では供給機や画像処理システムに高い汎用性が必要となります。
そこで候補に挙がったのが、基板組立に必要な機能を1つのセルにまとめて提供する基板組立ロボセルSmartWing BAでした。
ガス検知警報器の本体部、センサ部を合わせて月産25000台以上、仕様違い等で8~9機種を100~10,000台程度を生産。「導入後はSmartWing BA+セレクティブトレースはんだ付装置の組み合わせで、導入前に比べ実績ベースで約30%コストダウンが出来ました。2~3年レベルで費用対効果が出ると思います。」と吉井氏は述べます。経営層の方からもインライン後に垂直立上でき、すぐに効果を発揮出来たことでご好評頂いているとのこと。
吉井氏からは「殆ど停止することもなく、タクトの面でもセレクティブトレースはんだ付装置と合うため、SMTラインの様に生産できている。」と高く評価頂いています。